前回の記事で「次回は、AIに作ってもらった学習メニューの中身をお見せします」と書きました。今日はその約束の回です。
でもその前に、正直に書いておきたいことがあります。
私は、覚えてもすぐに忘れます。
Duolingoという語学アプリを、有料で2年続けています。それなのに、いまだにゼロに戻ってしまう。覚えた言葉が、次の日にはきれいに抜けている。
そんな私が、いまAIに作ってもらった「ゼロから50回コース」を、3日に1回のペースで進めています。今日はその中身を、包み隠さずお見せします。
最初のメニューは、私には速すぎました
前回お話しした「フランス旅行 日常会話 学習メニュー」は、8週間で旅行会話をひととおり覚える組み立てでした。
内容はとてもよくできていました。でも実際に始めてみると、1回分の量が、今の私には多かったのです。
若い頃なら「がんばれば追いつける」と思ったかもしれません。でも今は、無理をして数日で嫌になるより、遅くても続くほうがいいと分かっています。
そこで、AIにこう伝えました。
「もっとゆっくりでいいので、1回15分くらいに小さく分けてもらえますか」
たったこれだけです。難しい言葉は何も使っていません。
出てきたのが「ゼロから50回コース」でした
返ってきたのは、50回に分け直された、新しい学習の地図でした。
副題にはこう書かれていました。
シニア初心者のための「無理なく・確実に」会話ができるようになるメニュー
「シニア初心者のための」という一行を見たとき、私に合わせて作り直してくれたのだと分かりました。
私が決めたペース ― 1か月に10回
50回を、どのくらいの期間でやるか。ここは自分で決めました。
| 決めたこと | 中身 |
|---|---|
| ペース | 1か月に10回(3日に1回くらい) |
| 期間 | 5か月で50回 |
| 予備 | さらに1か月 |
| 合計 | 半年 |
毎日はやりません。3日に1回です。
そして最後の1か月は、まるまる予備にしました。風邪をひくかもしれない、用事が重なるかもしれない、進みが遅れるかもしれない。最初から「遅れる前提」で1か月分を空けておくことにしたのです。
若い頃の私なら、こんな余裕は作らなかったと思います。ぎっしり詰めて、崩れて、やめていました。
「守れる計画」を立てることが、続けるための第一歩だと、この年になってようやく分かりました。
5つのステップで、会話までたどりつく地図
50回は、5つのまとまりに分かれています。
| ステップ | 回 | できるようになること |
|---|---|---|
| STEP 1 音と超基本 | 1〜10 | あいさつができる。文字が読める |
| STEP 2 自分のことを話す | 11〜20 | 自己紹介ができる |
| STEP 3 やりとりする | 21〜30 | 買い物や注文ができる |
| STEP 4 行動を話す | 31〜40 | 「行く・する・したい」が言える |
| STEP 5 会話を広げる | 41〜50 | 過去のことが話せる。会話が続く |
そして——ここが私にとって一番大事なところなのですが——5回に1度は「復習の回」が入っています。
1回15分の中身
1回分の進め方も、時間まで決まっています。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 3分 | 音声を聞くだけ(意味が分からなくてOK) |
| 5分 | PDFを見ながら説明を読む |
| 5分 | 会話フレーズを声に出してまねる(5回ずつ) |
| 2分 | 前回の内容を思い出す |
「意味が分からなくてOK」から始まるのが、いいなと思いました。
分からないまま聞いていい、と最初に言ってもらえると、気持ちがずいぶん楽になります。
紙と音声、両方あるのがいちばんありがたい
毎回、2つのものを作ってもらっています。
- PDF … 印刷して手元に置ける。読み方のカタカナつき
- 音声つきHTML … パソコンで開くと、ネイティブの音声が聞ける
実は、これがこのコースで一番ありがたいところかもしれません。
私のやり方はこうです。
- PDFを印刷して、机の上に広げる
- パソコンで音声のページを開く
- 紙のカタカナを目で追いながら、音声を耳で聞いて、そのまま口でまねる
目と耳と口を、同時に使えるのです。
これがひとつの画面の中だけだと、こうはいきません。文字を見るために画面を切り替えて、音を聞くためにまた戻って……とやっているうちに、集中が切れてしまいます。
紙は紙で置いておける。 これは、私の世代にはとても大きいことでした。
それに音声は、何度でも押し直せます。 相手がいないので、何回聞き返しても申し訳なくない。10回でも20回でも、気が済むまでまねできます。
「聞いて→まねて→言えるように」というコースの約束は、この2つがそろっているから成り立っているのだと思います。
5つの約束
コースの冒頭には、こんな約束が書かれていました。
- 1回15分 ― 覚えるのは文法1つ+会話5フレーズだけ。欲張らない
- 順番どおり ― 前の回で習ったことだけを使う
- 必ず声に出す ― 聞いて→まねて→言えるように
- 音声つき ― 全部の回にネイティブ音声と読み仮名
- 5回ごとに復習 ― 忘れてもここで取り戻せる
そして、こう書き添えられていました。
・1日休んでも大丈夫。次の日にまた続ければ、それで順調です。
・覚えられなくて当たり前。
・完璧を目指さない。「通じればOK」がこのコースの合言葉です。
「覚えられなくて当たり前」。
この一行を読んだとき、少し救われた気持ちになりました。
実際にやってみた、第1回から第3回まで
ここからは、実際に私が声に出したものをそのままお見せします。
第1回:あいさつ
覚えるのは、たった3つでした。
| フランス語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| Bonjour | ボンジュール | こんにちは(朝〜夕方) |
| Bonsoir | ボンソワール | こんばんは |
| Au revoir | オ ルヴォワール | さようなら |
驚いたのは、こんな説明があったことです。
フランスでは、お店に入ったらまず「Bonjour !」と言うのがマナー。これを言わずに商品を見ると失礼になってしまいます。逆に、この一言を言うだけで、お店の人がとても親切になります。
言葉というより、その国の作法を教わった感じがしました。
発音についても、こう書いてありました。
最後の r は、のどの奥で軽く「フッ」と息を出す感じ。うまく言えなくても「ボンジュー」で十分通じます。安心してください。
「安心してください」の一言で、声を出すハードルがぐっと下がりました。
第2回:ありがとう・すみません
| フランス語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| Merci | メルスィ | ありがとう |
| Merci beaucoup | メルスィ ボクー | どうもありがとう |
| S’il vous plaît | スィル ヴ プレ | お願いします |
| Pardon | パルドン | すみません |
この回でいちばん驚いたのは、もう買い物ができてしまうことでした。
あなた:Bonjour !(こんにちは)
店員:Bonjour !
あなた:Ça, s’il vous plaît.(これ、お願いします ※指をさして)
店員:Voilà.(はい、どうぞ)
あなた:Merci beaucoup !(どうもありがとう)
あなた:Au revoir !(さようなら)
Ça(サ)は「これ」。指をさして言えばいいのだそうです。
たった2回分で、パン屋さんで買い物ができる。これは、思っていたよりずっと大きな一歩でした。
第3回:はい・いいえ・お元気ですか
| フランス語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| Oui / Non | ウィ / ノン | はい / いいえ |
| D’accord | ダコール | わかりました |
| Ça va ? | サ ヴァ | 元気? |
| Ça va, merci. | サ ヴァ メルスィ | 元気です、ありがとう |
| Et vous ? | エ ヴ | あなたは? |
ここで面白かったのが、Ça va は言い方だけで質問にも返事にもなるということ。
- 語尾を上げる → 「元気?」(質問)
- 語尾を下げる → 「元気です」(返事)
覚えるのは1つでいい。こういう「おトクな言葉」があると、うれしくなります。
そして3回目にして、こんなやりとりができるようになりました。
あなた:Bonjour !
相手:Bonjour ! Ça va ?
あなた:Ça va, merci. Et vous ?
相手:Très bien, merci !
あなた:Au revoir !
出会って、やりとりして、別れる。これはもう、立派な会話です。
正直に書きます。私は、すぐ忘れます
ここまで読んで、順調そうだと思われたかもしれません。
でも、正直なところを書きます。
覚えた言葉は、次の日にはもう抜けています。
冒頭にも書きましたが、私はDuolingoという語学アプリを有料で2年続けています。2年です。それなのに、いまだにゼロに戻ります。
新しいことを覚える。次の日、思い出せない。また覚える。また忘れる。
これを繰り返してきました。
以前は、これで落ち込んでいました。「やっぱり私には向いていないんだ」と思って、そのたびに何かをやめてきました。
でも今回は、少しだけ違います
50回コースの説明書に、こう書いてあったからです。
・覚えられなくて当たり前。5回ごとの復習回で必ず戻ってきます。
・忘れても大丈夫。忘れるのは普通のことです。
忘れる前提で、コースが作られているのです。
5回進むごとに、必ず立ち止まって復習する回がある。忘れた人がちゃんと拾ってもらえる場所が、最初から地図に描き込まれている。
これは、私にとって大きな違いでした。
「忘れる私」がおかしいのではなく、「忘れない前提の教材」が私に合っていなかっただけかもしれない。
そう思えるようになっただけで、続ける気持ちが変わりました。
数えてみたら、14個ありました
前回の記事で、私はこう書きました。
半年後までに、あいさつ・お礼・注文の基本10フレーズを、口に出して言える
3回終えた時点で数えてみたら、14個ありました。
Bonjour / Bonsoir / Au revoir / Merci / Merci beaucoup / S’il vous plaît / Pardon / Oui / Non / D’accord / Ça va ? / Ça va, merci. / Et vous ? / Très bien
もちろん、全部すらすら出てくるわけではありません。 明日には半分忘れていると思います。
それでも、紙を見ながらなら声に出せる。それだけでも、1週間前の私とは違います。
フランス語の「音」を教えてくれた人
ここで、どうしても書いておきたいことがあります。
実は少し前に、Instagramでフランス語を発信されている anne_francais さん の単発レッスンを、2回だけ受けたことがあります。
私にとって、あれが本当の出発点でした。
カタカナでは書けない音がある、と知った日
それまで私は、フランス語を「文字」としてしか見ていませんでした。
でも実際に先生の発音を聞いて、カタカナでは書き表せない音があることを初めて知ったのです。
美しい、というのがいちばん近い言葉でしょうか。ひとつひとつの音がなめらかにつながって、流れていく。「この音を自分でも出してみたい」と思いました。
いま毎日、恥ずかしがりながらも声に出しているのは、たぶんあのときの驚きが残っているからです。
Duolingoを知ったのも、このときでした。
2回では、やっぱり覚えられませんでした
正直に書きます。2回のレッスンで習ったことは、思い出そうとしてもなかなか口から出てきません。
これは先生のせいではまったくありません。私が覚えられないだけです。この記事でずっと書いてきたとおり、私は覚えたそばから忘れてしまうのです。
それでも、あの音を聞けたことだけは、いまも私の中に残っています。
思っていたのとは全然違う美しい音でした。
そしてもう一つ、いただいたものがあります。
毎日何かしらフランス語に触れる。その習慣そのものを教えていただきました。
何よりフランスへの想いが、ますます強くなりました。
知識は抜けても、「フランス語って、こんなに美しいのか」という驚きは抜けない。
そしてその驚きをくださった方のことも、忘れません。
※ このブログでお名前を出すことについて、ご本人に確認し、快くお許しをいただきました。ありがとうございます。私はレッスンを2回受けただけの一生徒で、提携などの関係はありません。
いま続けているもう一つのこと ― Duolingo
先ほど書いたレッスンで教えていただいたDuolingoも、あれからずっと続けています。有料版の2年目です。
音の流れを、とにかく聴ける
Duolingoのいちばん好きなところは、フランス語の音の流れが聴けるところです。
単語がぶつ切りにならず、なめらかにつながって聞こえる。あの響きが難しいのだけど好きで、
私も声に出してまねています。
まねやすい音と、舌が回らない音がある
やってみて分かったのは、同じようにまねても、できるものとできないものがはっきり分かれるということでした。
すっと口から出てくる言葉もあれば、何度聞いても舌が回らない言葉もある。特にあの喉の奥から出す音は、いまだにうまくいきません。
でも不思議なもので、言えない言葉があると分かること自体が、少し楽しいのです。「今日もここでつまずいた」と分かるのは、聞き流しているだけでは気づけないことですから。
キャラクターがかわいいので、まだ続けます
そしてもうひとつ、理由があります。
キャラクターがかわいいのです。
真面目な理由ではありません。でも、続ける理由なんて、それで十分だと思っています。続いているのは、これのおかげかもしれません。
それでも、覚えたそばから忘れます
正直に書けば、2年やっても話せるようにはなっていません。 覚えたそばから忘れていきます。
なぜなのかは、私にもよく分かりません。
ただ、ひとつ思い当たるのは、「その言葉をどんな場面で使うのか」が、あまり身についていないことです。音としては知っているのに、いざお店に入ったら口から出てこない気がします。
その点、50回コースはお店に入ってから出るまでが丸ごと一つの場面になっています。言葉ではなく場面ごと覚える。 この違いは大きいかもしれない、といまは感じています。
だから、役割を分けています
| 学習 | 役割 |
|---|---|
| 50回コース | 場面ごと覚える「勉強」の時間(15分) |
| Duolingo | 音の流れをまねる「耳ならし」の時間(数分~) |
Duolingoをやめるつもりはありません。
ただ、これだけでは足りなかった。それが2年かけて分かった、私の正直な答えです。
まとめ|ゼロに戻ってもいい。何度でも第1回から始められる
今日お伝えしたかったことを、まとめます。
- 最初のメニューは速かったので、「もっとゆっくりに」とお願いし直しました
- 出てきたのが1回15分・全50回のコース。月10回、予備1か月を入れて半年で進めます
- 3回終えて、あいさつからお別れまでの会話ができるようになりました
- でも正直、覚えてもすぐ忘れます。 Duolingo有料2年目でも、ゼロに戻ります
- それでも続けられそうなのは、忘れる前提でコースが作られているからです
- そして、フランス語の音の美しさを知ってしまったから、やめられずにいます
正直に言えば、私はいまもほとんどゼロです。
2年アプリを続けても、ゼロ。3回声に出しても、明日にはゼロに近い。
それでも、フランスに行きたいのです。
理由はうまく説明できません。ただ、何十年も消えずに残っている気持ちです。
ゼロに戻ってもいい。何度でも、また第1回から始めればいい。
急かさず、呆れず、何度でも作り直してくれる相棒がいるのだから。
次回は、第4回で出てくる「フランス語の読み方」に挑戦した記録を書きます。
実はここが、私にとって最初の壁になりそうな予感がしています。うまくいかなかったら、その様子も正直に書きますね。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
À bientôt !(ア ビアント/またね)
